映画「イントゥ・ザ・ワイルド」



INTO THE WILD (2008)

同名のノンフィクション(邦題は『荒野へ』)の映画化作品。

俳優のショーン・ペンさんが監督した作品らしいです。監督もするんですね。
原作も読みましたが、かなり忠実に映画化されているという印象です。

実在した1人の青年の魂の旅の軌跡を描いたもの。
約2時間半とちょっと長めですが、見ごたえがあり、アラスカの美しい風景とともに深く胸に残る映画でした。


イントゥ ザ ワイルド


dTVで現在配信されています。




動画のあらすじ、感想と評価 *ネタバレ注意



主人公は23歳のクリス(エミール・ハーシュ)という青年。
彼は裕福な家庭に育ち、成績も優秀で、前途有望だとみなされていましたが、大学を卒業するのと同時に、家族にも告げずに1人で放浪の旅に出ます。

若者の旅はよくあるテーマですが、彼のすごいのは、銀行にあった預金を全部、慈善団体に寄付して、残りのお金も全て燃やしてしまい、文字通り無一文で旅に出てしまったこと。
彼は全てを捨て、自分の名前までも捨てて、旅に出たのでした。

あまりにも無防備で、観ているこちらがハラハラしてしまいますが・・・
生まれて初めての圧倒的な自由を手にして、彼の表情は生き生きとして輝いています。

ヒッチハイクをしたり、列車にただ乗りしたり、カヤックでメキシコまで川下りをしたりと、彼の旅はエキサイティングな冒険の連続です。

旅の途中で、彼は様々な人たちに出会います。
彼が出会う人々のキャラクターもそれぞれが印象的でした。

クリスはとても純粋で誠実で、優しく、頭の良い青年で、彼の出会った人々はみんな彼のことを好きになり、特別な友情を抱くようでした。
彼らはクリスのことを心配しますが、彼には「アラスカに行く」という夢があり、その夢に向かって一途に突き進んでいきます。

物語が進むにつれて、クリスと彼の両親との確執が明らかになります。
両親を「許すことができない」ことが、彼の心に暗い影を落としているのでした。

両親の価値観や、窮屈な社会の常識から逃れて、できるだけ遠くに行こうとするかのように、彼はひたすらアラスカを夢見て目指します。
アラスカの荒野で、自分の原始の力を試すことが、彼にとっての最大の冒険なのでした。

映画を観ているうちに、クリス青年のことがまるで友達のように感じられてきて、親近感を感じたり、心配したりしてしまいました。
本当に無垢な人。
とても優しい心を持っているのですが、その反面、ひどく厳しいところもあり、人生の「真理」を追究するストイックさは見ていて切なくなるほどでした。
青年期に特有の、純粋さと無鉄砲さ、そして情熱。

それだけではなく、彼には人生の真理を探求しようとする一途な求道心があり、そこが普通のバックパッカーとは次元の違うきらめきを、彼の旅に与えています。

彼は人に好かれるし、彼自身も人付き合いは好きのようですが、彼にはどこか狭い人間関係から「逃げよう」とするところが感じられます。
出会った人たちと深い関係になる前に、彼はその場所を去ってしまうのでした。
彼が手にした「自由」を失うことを恐れているかのように。

そして彼の夢見た地、アラスカへ・・・。

アラスカの原野の風景は感動的に美しいです。
ただきれいな景色、というだけでなく、人を寄せ付けない厳しさと恐ろしさを秘めた美しさ。

クリスはとうとう完全な孤独の中で、彼の夢見ていた自活を始めます。

でも原始の自然の中での生活はやはり厳しく、彼は次第に彼自身が言うところの「荒野の罠」に捕われていくのでした。

衰弱していく彼の姿を見るのは辛かったです。
主演のエミール・ハーシュがそれまでも好演していましたが、映画の終盤にかけては鬼気迫るすさまじい演技をみせます。本当に実在のクリス青年が乗り移っているかのようでした。

死の間際に彼が見つける「真理」が胸を打ちます。
孤独と自由をひたすら追い求めてきた彼が、壮絶な旅路の果てに見つけたもの・・・



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