愛する人


愛する人




「母と娘」という関係に焦点を当てた物語。

ロドリゴ・ガルシア監督は「彼女を見ればわかること」の人ですね。

「彼女を見ればわかること」もそうでしたが、女性を描くのが上手ですね。


動画の評価


感動ドラマ      ☆☆☆☆☆☆

泣ける        ☆☆☆☆☆

群像劇        ☆☆☆☆

おすすめ度      ☆☆☆☆☆☆



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動画の感想、レビュー、あらすじ



主人公のカレンは14歳で妊娠し、生まれた女の子を養子に出さなければなりませんでした。

どうやらカレンは自分で育てたい気持ちがあったものの、母親に反対されて子どもを手放したよう。

でも彼女は大人になってもずっとそのことを引きずっていて、37年が経っても、会ったこともない娘のことだけを想いながら日々を送っています。

現在のカレンは51歳。
結婚もせずに、老いた母親と二人暮らし。

自分の幸せを追い求めることなど諦めてしまったかのようなカレンが、ある男性と出会い、恋をすることで少しずつ変わっていきます。

カレンを演じるアネット・ベニングの演技がすばらしい。
神経質そうで、固くこわばっていた彼女の表情が、恋をし、自信をつけることで、内側から生き生きと輝いていく。
その美しさにみとれてしまいました。


一方で、養子に出された娘の方の、エリザベスの物語も並行して描かれます。

今や37歳となった彼女は、有能な弁護士として働いています。

結婚はしていないし、するつもりもない。

彼女は17歳のときからずっと自立していて、そのことを一番大切なことだと思っている。

男性とは肉体関係を持つだけで、それ以上の深い関係にはならない。

仕事で成功し、経済的に自立していて、意志の強い女性。

でもいつも薄く微笑みを浮かべている表情に、寂しさの影がうかがえます。

エリザベスを演じたナオミ・ワッツもいいですね。
強く、美しく、ミステリアス。そして脆い…



エリザベスは上司の子を妊娠します。

彼女は母になろうとして初めて、自分の本当の母親を探す決心をします。


ちょうどそのとき、カレンの方でもまた、娘を探そうとしていたのでした。

別々の人生を送っていた母と娘の運命が、不思議な糸で引き寄せられ、たぐりよせられる。

カレンの思いと、エリザベスの思い、見ているこちらは双方の願いを知っているだけに、胸がどきどき。

彼女達が出会うことを望まずにはいられないのですが、思わぬ悲劇が起こってしまう・・・


会ったこともない母と娘の強い絆を描いた、悲しくも美しい物語でした。

新しい命がその絆を未来へとつなげていく。

終盤の光にあふれる映像が印象的です。命の輝きが伝わってくるようでした。


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